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2023.04.05

カミンズが考える、商用輸送の未来 〜脱炭素化、ソフトウェアの革新、自動運転がキーワード 〜

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私たちの生活を支える商用輸送

生活必需品や医療品など、さまざまな物資を運ぶトラック輸送。航空輸送の発展やグローバリゼーションの台頭、電子商取引の急増とともに自己改革を続け、今や私たちの生活に欠かせない社会インフラへと成長しました。

トラック輸送には、これまで衝突軽減や電動化、低炭素化といった多くの技術が導入されてきました。そして現在、商用輸送は、規制の急速な変化と顧客ニーズの進化という新たな局面に差し掛かっています。先端技術はこれらの要件を満たすだけでなく、新たな道を切り開く必要があるのです。

今後、商用輸送はどのように進化を続けるのでしょうか。この記事では、「脱炭素化」「ソフトウェアの革新」「自動運転の発展」という3つの視点から、商用輸送の未来を考えます。

商用輸送の未来を形づくる3つの視点

1.脱炭素化に向けたエネルギーの転換

商用輸送における脱炭素化の最終目標は、「Well-to-Wheel(燃料の生産から走行中までの炭素排出を示す指標)での炭素排出量がゼロになること」です。これを達成するには具体的なロードマップが不可欠であり、カミンズも「バッテリーや燃料電池などのゼロエミッション技術」「低カーボンおよびゼロカーボン燃料」「燃料に依存しないパワートレイン・プラットフォーム」という3つの要素からなる包括的な技術ロードマップを提案しています。

脱炭素化に向けたエネルギー転換が進むと、どのような変化が起こるのでしょうか。ここでは、今後30年間で予想される変化を年代別に解説します。

・2020年代

「ゼロエミッションへの飛躍」と「低カーボンおよびゼロカーボン燃料の台頭」という2つのトレンドが中心となるでしょう。まず、都市部で運行されるバスのゼロエミッション化が進み、その後に他の交通機関でもイノベーションが起こります。また、再生可能天然ガス(RNG)やバイオディーゼル混合燃料、水素などの代替燃料が普及し始めるとともに、内燃機関の効率も向上します。カミンズも、より多くの低炭素燃料を混合できる新たなエンジンを計画中です。コストやインフラ整備の問題が解決すれば、長距離トラック輸送において水素エンジンが普及する可能性もあるでしょう。

・2030年代

新しい技術と燃料が急速に普及します。特に都市部において、バッテリーや燃料電池を使った電動化ソリューションの実用化が進むでしょう。RNGやバイオディーゼル混合燃料、水素などの代替燃料は、世界的に普及する見込みです。合成燃料に関しても、商用輸送での実現可能性が検討され始めるでしょう。しかし、航空産業の脱炭素化に必須であるバイオマス燃料に関しては、生産量の問題から道路運送での使用が制限されるかもしれません。

・2040年代

現在電動化が困難だと言われているケースでも、電動化が可能になります。例えば、バッテリーのエネルギー密度や充電インフラの問題が解決することで、大型トラックや長距離トラックの電動化が可能となるでしょう。また、車両の電動化によってTank-to-Wheel(タンクに燃料が入っている状態から走行中までの炭素排出を示す指標)の炭素排出量が少なくなるため、Well-to-Tank(燃料の生産からタンクに燃料を入れるまでの炭素排出を示す指標)の排出量がますます注目されるようになるはずです。

2.安全で効率的な輸送を実現する、ソフトウェアの革新

現在、商用輸送分野ではソフトウェアの開発が急速に進んでいます。ソフトウェアを活用すれば、事故の回避や燃料使用量の最適化、最適なルート探索などが実現できるのです。

今後、コネクティビティー(接続性)とソフトウェア技術によって、車両の状態監視や性能最適化にイノベーションが起きると考えられています。このイノベーションは、「車両単体」「システム(車両とその他の関連施設とを組み合わせたもの)」「インターモーダル(複数の輸送手段を組み合わせた一貫輸送)」の3つで実行されるでしょう。

車両単体レベルのコネクティビティーは、近い将来も引き続き注目されるでしょう。例えば、カミンズでは車両から収集した膨大なデータを活用して、画期的な予測を行うアルゴリズムの試験を開始しています。このソフトウェアを使えば、潜在的な問題を早期に検出して、必要な措置をできる限り早く行うことが可能です。これにより、搭載された機器の可用性や信頼性が向上します。

システムレベルのコネクティビティーも重視され、運行車両全体や、物流センター、給油所といった各施設の管理にまで重点が置かれるようになります。リアルタイムデータやコンピューティング能力の活用が進み、意思決定の自動化が推進されるでしょう。

インターモーダルのコネクティビティーは、道路、鉄道、海上、航空といった異なる輸送手段の相互接続を可能にします。これにより、商用輸送エコシステムの連携運用も実現可能となるはずです。

3.自動運転の発展

自動運転は、他の車両やインフラ設備と通信しながら走行する革新的な技術です。自動運転トラックの技術開発が進めば、これまで鉄道など他の輸送手段を利用していた場面でもトラック輸送が使われるようになるかもしれません。

自動運転トラックは稼働率が高いため、車両の買い替えサイクルが以前より短縮される一方で、所有台数は少なくても済むケースもあり、業界の財務にも影響を与えるでしょう。また、安全性の高い自動運転が実現すれば、ドライバーの役割の見直しも進む可能性があります。

稼働していない車両を貸し出すVaaS(Vehicle-as-a-Service)の導入については、自動運転車では稼働率が高いため、進みづらいと考えられます。十分に活用されていない車両がある場合や、車両コストの高騰化により資金繰りが必要になる場合に限っては、VaaSが有効な手段となるかもしれません。

商用トラック輸送の未来に貢献するカミンズ

商用輸送部門は、社会のニーズを満たすためにこれまで懸命に努力を続けてきました。現在、そのニーズはますます高まっています。これに応え続けるには、新たな技術開発への挑戦が必要です。

カミンズは今後も、低炭素燃料向けエンジンや予測システムなどの技術開発に力を入れ、商用輸送の未来に貢献していきます。

※この記事は、2022年5月31日に英語版で公開された記事を抄訳、加筆したものです。

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