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2023.10.30
カミンズ工場で実施しているサステナビリティへの5つの取り組み
製造工場でも環境に配慮したオペレーションを
地球温暖化による影響が顕著になるにつれ、製造業でも持続可能で環境にやさしいソリューションが求められるようになっています。カミンズでは、環境サステナビリティ戦略「プラネット2050」の主要ターゲットと2030年の目標に向かって努力を続けています。
その過程で、施設とコミュニティの両方で持続可能性を促進することが効果的であることを証明してきました。この記事では、コロンバス・ミッドレンジ・エンジン工場(以下、CMEP)のサステナビリティチームが実施する、環境に配慮した5つの取り組みを紹介します。
1.電子廃棄物のリサイクル
電子廃棄物(E-waste)は、現在、世界で最も増えている廃棄物のひとつです。最新のハイテク機器が日々の暮らしに欠かせなくなるにつれ、耐用年数が近づいた電子機器の廃棄が増えているのです。
2019年には、世界中で53.6トン以上の電子ゴミが発生し、年間約2トンの速度で増加しています。これらの廃棄物には野外での燃焼による健康リスクや、鉛、水銀などの有害な毒素への曝露といった問題があり、環境にも影響を及ぼします。
電子廃棄物のリサイクルを促進するため、CMEPでは、インディアナ州コロンバスの地域全体で、リサイクルを目的とした電子ゴミの回収イベントを開催しました。その結果、860ポンド(390キロ)以上の電子廃棄物を回収。埋め立てによる、危険な有毒化学物質の環境への流出を回避させました。
2.プラスチックキャップの回収
毎年4億トン近くのプラスチックが生産されるなか、その環境への影響が問題となっています。特に、ペットボトルのキャップは小さいため野生動物が誤って口にしやすく、分解されるとマイクロプラスチックとなって自然界に残留するなど、多くの問題があります。
そこでCMEPでは、環境啓発月間の6月中にできるだけ多くのキャップを集めようと、コンテストを企画。工場の従業員が協力して合計250ポンド(113キロ)のプラスチックキャップを集めました。集めたキャップはリサイクル施設でベンチなどの新しい製品に生まれ変わり、近隣の小学校に寄贈されました。
3.タバコの吸殻の回収
世界のポイ捨てされるゴミの中で最も多いのは、タバコの吸い殻だと言われています。毎年世界中で喫煙される約6兆本の紙巻きタバコのうち、75%(4兆5000億本)の吸い殻が投げ捨てられていると推定されています。
タバコにはヒ素、酢酸セルロース、鉛、その他の重金属など、有害な化学物質が使用されていることが多く、自然分解されるまでに2~25年かかると言われています。その間に有害物質が地中に溶け出し、空気や水資源を汚染するのです。タバコは海洋ゴミの最大の原因のひとつであり、都市火災や山火事の問題にもなっています。
CMEPでは、工場内のいたるところに「ネコとイヌのどちらが好きか」などのテーマが書かれた投票箱を設置。吸い殻を捨てながら好きなものに投票できる仕組みをつくり、楽しみながら吸い殻を適切に捨てられる取り組みを行っています。
4.ニトリルグローブのリサイクル
2022年4月、CMEPは北米のカミンズ工場として初めてニトリル手袋のリサイクルプログラムを実施しました。ニトリルグローブは耐薬品性、耐摩耗性に優れており、食品や工業、化学研究所などで標準的な個人防護具として使用されていますが、通常は埋め立て処理されるため、その環境への負荷が問題となっています。
CMEPでも、エンジンを点検する際の有害物質への曝露やケガから従業員を守るための防護具としてニトリルグローブは必需品です。その1年間の使用枚数は、CMEPだけで約875,000枚にのぼります。
そこでCMEPでは、リサイクルプログラムを提供するキンバリー・クラーク・プロフェッショナルと提携。生分解性ニトリルグローブのリサイクルを始めました。使用済みのグローブのうち有害物質に汚染されていないものが非営利団体で仕分けられ、プラスチックペレットに変換された後に保管箱や棚、椅子などに加工されるのです。この取り組みは、毎年約3.75トンのニトリルグローブ廃棄物のライフサイクルを創り出すと同時に、障害者や社会的に不利な立場にある人の雇用の創出にもつながりました。
5.エンジン塗装の廃止
CMEPでは、過去30年間、エンジンに防錆用のクリアコーティングを施してきました。しかし、工程の見直しを行った結果、2021年11月に塗装工程の廃止を実現したのです。塗装工程を廃止したことで削減されたのは、265ガロン(1,003リットル)の塗料と、塗装過程で使用される大量のプラスチック製キャップやステッカー、そして10,000時間にも及ぶ作業時間です。また、廃水や天然ガスの削減にもつながりました。
また、塗装の廃止は揮発性有機化合物(VOC)の削減、施設や作業における水の消費量の削減など、カミンズの主要な2030年目標の達成に貢献しました。この塗装廃止の取り組みはインディアナ州知事賞を受賞しています。
エンジン塗装の廃止についての詳細は、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。カミンズでは、今後も、環境に配慮した取り組みを積極的に行っていきます。
※この記事は、2023年2月28日に英語版で公開された記事をもとに、再構成したものです。