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2022.06.02
カミンズ、スカニアと燃料電池トラックを共同開発―ゼロエミッション輸送に貢献
スカニア社との電気トラック開発で、ゼロエミッション輸送の実現へ
持続可能な社会の実現に向けて、自動車業界では脱炭素化に向けた取り組みが急速に進められています。これは輸送分野も例外ではありません。
2022年4月28日、カミンズ社(Cummins Inc.)とスカニア社(Scania AB)は、水素をエネルギーとする燃料電池トラックの開発で提携することを発表しました。スカニアは輸送用大型トラックやバスなどの商用車を製造する世界有数のメーカーで、水素エネルギー分野でのカミンズとの提携は今回が2度目となります。
このプロジェクトでカミンズは、スカニアがもつ既存のバッテリー電気自動車(BEV)プラットフォームに搭載する、プロトン交換膜(PEM)燃料電池システムを提供します。カミンズの燃料電池が組み込まれたトラックは2024年までに20台製造され、ゼロエミッションの大型トラックを配備する欧州最大のプロジェクト「HyTracks」コンソーシアムに納品される予定です。
水素を代替え燃料とするこの燃料電池トラックは、太陽光、風力、水力などの再生可能エネルギーを使って水素を生成することで、カーボンフリーを実現することができます。また、電気自動車を上回る走行距離と積載量に加えて燃料補給も短時間で済むため、電気自動車が適さない地域や業務での活用も期待されています。
カミンズが注力する、クリーンで効率的な燃料電池とは
燃料電池とは、水素などの燃料を利用してクリーンに電気をつくり出すエネルギー変換装置のこと。アノードとカソードと呼ばれる2つの電極と電極間に存在する電解質膜で構成されており、アノードに燃料、カソードに酸素を供給することで発電します。バッテリー電池とは異なり、再充電の必要はありません。
燃料にはアンモニアや天然ガスも使用できますが、水素を使用すると電力と水、熱のみを生成し、二酸化炭素やその他の汚染物質を排出しないのが特徴です。可動部が少なく、運転中の動作音も静か。一つの燃料電池での発電量はわずかですが、複数を組み合わせることでノートパソコンから電力会社の発電所までさまざまな規模のシステムに電力を供給することもできます。
燃料電池は使用する電解質の種類に応じて6種類に分けられます。そのなかで、カミンズは「プロトン交換膜(PEM)燃料電池」と「固体酸化物形燃料電池(SOFC)」に可能性を見出し、技術の発展のために投資を続けてきました。SOFCの商業化を進めるため、2020年には米国エネルギー省の助成金も獲得しています。
カミンズはこれまで、設備提供や試験、実装、システム統合といった各種のサービスにより、世界中の燃料電池プログラムを支援してきました。カミンズが提供する低圧・無加湿型の電池パワーモジュールは、他社に比べて圧倒的な信頼性と燃料効率を実現しています。
このほか、カミンズではUPS(無停電電源装置)を提供するなど、電力のバックアップ体制にも力を入れています。私たちは今後も燃料電池に関する技術開発を続け、ゼロエミッションの実現に貢献していきます。
※カミンズの燃料電池関連サービスに関しては、こちらのページを併せてご覧ください。 また、スカニアとの1度目の提携についてはこちらのニュースリリースをご参照ください。