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2023.09.25
水素と燃料電池について知っておきたい8つの事実
温暖化対策で高まる水素と燃料電池への期待
脱炭素化の鍵を握ると言われる「水素」と「燃料電池」。近年は、その未来にますます注目が集まっています。例えば、2015年にアメリカで「全米水素・燃料電池デー(National Hydrogen and Fuel Cell Day)」が制定されたのは、象徴的な出来事でした。水素の原子量(1.008)にちなみ、毎年10月8日前後に祝賀イベントが開催され、全米の科学者やエンジニアたちがその日を祝います。
カミンズでも水素経済の実現は地球温暖化に対する解決策と位置づけ、その技術開発と普及に尽力しています。この記事では、皆さんにもその可能性を知っていただきたく、水素と燃料電池に関する興味深い事実を紹介していきます。
いくつ知っていますか?水素と燃料電池に関する8つの事実
ニュースなどでも耳にすることの増えた「水素」と「燃料電池」に関する話題。ここでは、その基本情報から少し専門的な内容まで、8つのトピックを取り上げました。
1.宇宙の大部分は水素
宇宙に最も豊富に存在する元素、それが水素です。水素は宇宙の大部分を占めると言われており、宇宙にあるもののほとんどが水素でできています。地球上では、水素は3番目に多い元素として知られています。しかし自然界に単体で存在することは稀で、主に水などの化合物の形をとっています。
2.水素が発見されたのは18世紀
水素は低炭素燃料として、近年注目を集めていますが、生物が誕生するよりもはるか昔から存在していました。1766年にヘンリー・キャベンディッシュによって水素が発見されたことにより研究が進み、1800年にニコルソンとカーライルにより、電気を流して水から水素を分離する最初の電解槽がつくられました。これらの基本的な研究は、200年以上が経過した現在でも、製品の改良に役立てられています。
3.燃料電池の燃料となるのは水素
燃料電池がエネルギーを生み出すためには、水素が燃料として必要です。燃料には純粋な水素が最も多く使用されますが、天然ガスやメタノール、アンモニア、ディーゼルなどの水素の化合物が使われることもあります。
4.水素燃料から生成される副産物は水蒸気だけ
燃料電池は、水素と酸素の化学反応によって電気を発生させるエネルギー変換装置です。電気をつくる際に発生する副産物は水蒸気のみのため、クリーンにエネルギーを生み出すことができます。
5.カーボンフリーも実現可能
水素を燃料に使うと、排気ガスや有害な揮発性有機化合物の排出を防ぐことができます。さらに、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーの余剰分を使って水素を生成すれば、製造工程でも二酸化炭素を排出することがなくなります。このようにつくられた水素が、カーボンフリーの「グリーン水素」です。
6.スペースシャトルにも搭載されている
燃料電池と水素は、月への有人宇宙飛行で知られるアポロ計画の時代から活用されてきました。NASAの燃料電池研究開発センターであるグレン研究センター(Glenn Research Center)では、スペースシャトルのミッションなどで、過去40年にわたり燃料電池を使用しています。
7.水素ステーションの数は増加中
燃料電池自動車の普及に伴い、水素の充填を行う水素ステーションの数が世界的に増加しています。2010年にはわずか22カ所しかなかった水素ステーションが、2019年には470カ所に。設置数は日本が113カ所とトップで、次いでドイツが81カ所、アメリカが64カ所となっています。
8.水素燃料電池の用途は幅広い
水素燃料電池は様々な分野で使用されています。カミンズは、ヨーロッパの旅客列車への電力供給をはじめ、ごみ収集車や大型トラック、集配車、フォークリフト、航空機、バスへの燃料電池の提供など、様々な乗り物で水素と燃料電池を活用しています。
以上が水素と燃料電池に関するトピックです。8つのうち、あなたはいくつ知っていましたか? 水素燃料電池についてもっと知識を深めたい人は、こちらのページも併せてご覧ください。
水素・燃料電池の開発を通して脱炭素に貢献するカミンズ
カミンズでは、近年、水素と燃料電池に関する様々な取り組みを進めています。2022年4月には、スカニア社と水素燃料電池トラックを共同開発するプロジェクトをスタート。スカニア社のバッテリー電気自動車プラットフォーム(BEV)上に、カミンズのプロトン交換膜燃料電池(PEM)システムを搭載することを発表しました。
また同月、トヨタなどが出資する水素モビリティ企業のHysetCo社に、2.5メガワットのプロトン交換膜(PEM)電解槽を提供すると発表。この電解槽では、年間で最大380トンの水素を製造できます。HysetCo社はカミンズの電解槽を活用して、水素の製造、供給及び使用を可能とする世界初の大規模水素モビリティプラットフォームの実現を目指しています。
カミンズは今後も次世代の動力源の技術開発に力を入れ、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
※この記事は、2020年10月8日に英語版で公開された記事をもとに、再構成したものです。